ビートパルプとは?

ペットフードの原材料
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最近、「ビートパルプが入っていないフードを紹介してほしい」、「ビートパルプは体に悪い」という話を聞くようになりました。

ビートパルプは昔からペットフードだけでなく飼料としても使われてきた原材料です。

本当に体に悪い原材料なのでしょうか?

 

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ビートパルプの気になる噂

・ビートパルプの入っているペットフードは体に悪影響がある。

・ビートパルプには硫酸が残留している。

・ビートパルプが入っていると下痢や便秘する。

・ビートパルプに含まれる繊維は犬や猫には不要な栄養素。

 

 

まいたけ
まいたけ

インターネットでこういった情報を見かけたことがあるかもしれません。

本当にそうでしょうか?

 

 

ビートパルプが入っているフードは体に悪影響がある?

ビートパルプとは?

甜菜(砂糖大根)の根の部分を細かく刻んでお湯に浸し、糖分を抽出した残り(いわゆる搾りかす)がビートパルプになります。

圧搾して乾燥させてできるビートパルプは嗜好性が良く、古くから乳牛などの飼料として使われてきました。

動物用療法食でもビートパルプが使われているものが多くあります。

 

 

まいたけ
まいたけ

牛の飼料を犬や猫のペットフードにも利用していると聞くと悪い印象を持ちますか?

日本国内の飼料は「飼料安全法」という法律で厳しく管理されています。

家畜に毒性のあるものを与えると最終的にそれを食す人間の健康に悪影響が出る可能性があるので、薬剤の残留、汚染等を監視された環境で製造されている安全な原材料です。

 

 

ビートパルプに硫酸が残留する?

湯に浸して糖分が抜けた後の甜菜を圧搾してビートパルプを作りますが、ただ搾って加工する場合と食品添加物を使って甜菜の搾りかすをゲル状にし搾りやすくして加工する場合と二通りあります。

この時、使用される食品添加物が「硫酸カルシウム」というもので、ビートパルプに含まれるペクチンという食物繊維と反応してゲル状に変化させます。

硫酸カルシウムは豆腐の凝固剤として食品衛生法でも指定されている食品添加物で「澄まし粉」とも呼ばれ、にがりの代用品として第二次世界大戦以降広く使われています。

硫酸と硫酸カルシウムは別のものです。

食品添加物として使用される量で体調不良を起こすことはありません。

 

また、すべてのビートパルプが硫酸カルシウムを使用しているわけではなく、硫酸カルシウムを使わずに製造されたビートパルプもあります。

 

ビートパルプが含まれていると下痢や便秘をする?

ビートパルプを加工する時に使われた硫酸カルシウムが悪影響を及ぼして便秘や下痢を起こすということはありません。

ビートパルプは消化器系疾患の療法食に利用されることも多い原材料です。

もともと消化器(胃や腸)がデリケートな犬や猫であれば食事の急激な変更で下痢などの消化器症状が現れる場合があります。

また、ビートパルプにはペクチンなどの可溶性繊維も含まれるため、可溶性繊維が腸内で水分を蓄えることで便がしっとりとしたやわらかい便に変わることがあります。

 

 

まいたけ
まいたけ

以前、「ビートパルプは腸で詰まるので危険!」という書き込みをペットフードのアフィリエイトサイトで見たことがあるのですが、「パルプ=紙=腸に詰まる」と思われたのでしょうか?

「パルプ=紙の原料にもなるどろどろの繊維」なのでペットフードが単独で健康な腸に詰まったりはしません。

 

ビートパルプに含まれる食物繊維は犬や猫には不要?

犬と猫は肉食と紹介されいてるサイトをいまだに見かけますが、犬は雑食なので炭水化物や食物繊維も取ります。

肉食の猫も野生の環境では獲物(小鳥やネズミなどの小動物)を丸ごと食べるので、獲物の胃腸の中におさまっていた穀物を間接的に食べて炭水化物や食物繊維をとっています。

 

食物繊維は腸内で発酵する速さに応じて、不溶性繊維(発酵が遅い繊維)、可溶性繊維(発酵が速い繊維)の二つのグループに分けられます。

ビートパルプはセルロースに代表される不溶性繊維とヘミセルロース、ペクチンに代表される可溶性繊維をバランスよく含んでいて、それぞれの食物繊維が犬や猫の体調を整えます。

 

不溶性繊維の特徴

・カロリーにはならず、お腹の中で水分を吸って膨らむので腹持ちが良い。

・グルーミングで飲み込んだ胃の中の毛をからめて便といっしょに排泄させる。

・軟便の時、繊維が水分を吸って便の形を整える。

・便量を増やし排便のリズムを促す。

 

さまざまな利点があるので、大腸炎、便秘、減量用の療法食などでは不溶性繊維が強化されている製品が多くあります。

猫の毛玉ケア、ヘアボールコントロールなどの毛球症予防の製品にも不溶性繊維が強化されています。

 

可溶性繊維のメリット

・便に水分を含ませてしっとりとした軟らかい便にする。

・腸内細菌が発酵することで、腸内細胞の栄養源になる短鎖脂肪酸を作る。

・いわゆる善玉菌を増やし、O157などの病原性のある大腸菌の増殖を抑える。

・食後の血糖値の急激な上昇を抑える。

・コレステロールを吸着して便といっしょに排泄する。

 

腸内環境を健康に整えるフードや便秘、糖尿病、高脂血症用の療法食には可溶性繊維がバランスよく含まれています。

 

この二つの食物繊維をバランスよくとることができるのがビートパルプです。

 

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プロフィール
このサイトの管理人
まいたけ

獣医師・ペット栄養管理士・ペット薬膳管理士
動物病院で約9年間勤務した後、外資メーカーに勤めていました。
食べることが大好きなラグドール男子、しめじさんと同居中。
ねこアレルギーとねこが快適に暮らす方法やペットの手作りおやつ、ホームケアを簡単にする方法などを追求しています。
ねこブログ:「まいたけのねこばなし」https://maitake-vet.com

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